北竜町農家のなんとなく

北海道北竜町の農家がほそぼそ考えたこと。

矢野絢子さん『金色の匂い』〜思索に耽りたい季節に

【前回のなぞなぞ】

色んな味のキャンディーを舐めていると、突然お家が火事になっちゃった!いったい何味のときだろう?

 

答え:ハッカ味(発火あじ。)

 

 稲刈りがようやく終了!!掃除して、シーズン終了まであと数日というところまで来ました!あと一踏ん張りです。

 

 突然ですが、私は、秋が好きです。実りの季節、田んぼや山が一斉に色付いていく美しさの一方で、冬へ向かってゆく寂しさが混ざり合うこの独特な雰囲気。なんだかずーっと思索に耽ってしまいたいような、そんな気分になります。(実際は雪が降るまで仕事に追われてるんですけどね)

 そんな今日この頃、需要なくても語りたくなったのは『金色の匂い』です。確かYouTubeにライブで披露されたもののアーカイブが残っていたので、興味が湧いた方は是非。

金色の匂い

金色の匂い

星ヲ抱ク者

星ヲ抱ク者

  • 十二月舎
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 静かで、穏やかなメロディ。それに合わせて飛び出してくる、あまりにも強烈な歌詞と叫ぶかのように強くなっていく歌声に、思わず耳が奪われていきます。

 「秋になったよ」と語りながら歌われているのは「愛」と言えばよいのでしょうか。といってもラブソングではなく、心の内にあるもの、自分をとりまくもの、誰かと誰かの間におこるものを、「愛」と表現してよいものか思索している。そんな印象の歌詞です。

 描かれる男女の姿は、抽象的でありながら痛烈に、ざっくり言えば醜さや残酷さを表現しているようです。そんな姿を見てか、愛について思い、愛かどうかわからない「どうしても消えない光」を胸の中に見出す。締め括りの「どこにも偽りのないこの季節」の美しい風景と対象的な、聞いていて苦しくなるような胸の内を、穏やかさの中で少しずつ激しく、最後には叩きつけるような歌声で歌い上げています。

 ヒット曲なんかはよく「共感」されたことが注目されますが、矢野絢子さんの歌はそれを求めているようには、私は感じません。強烈な主張と世界観を聞き手にねじ込むような、そんな曲がとても魅力的です。(なんだかすこーしベクトルが違ってますが、中島みゆきさんとかの様な雰囲気かな?)『金色の匂い』はとても穏やかながら「朝になったら全部なくなってくれ」とビクッとするような歌い出しから、一気にそんな世界に引き込まれていく大好きな一曲です。

 10年程前に行った、収録アルバムがテーマのライブでのMCがとても印象的でした。どうやらこの曲を作ったときは「それはそれは酷い男」に恋をしていたらしく(シマフミさんが隣で深く、深ーーく頷いていたのが印象的でした)、その男と恋敵の前で披露したそうです。彼らは曲を聞いてすごすごと退散していったそうな。それはそうです。

 収録アルバムの『星ヲ抱ク者』の曲を作ったときの紹介では、幾度となく「病んでましたね」と仰っていました。聞く人もみな「そうだろうな」と納得がいくかもしれません。私は、人の感情や社会にある暗い部分を逃げることなく見つめた傑作のアルバムだと思っていますし、私が初めてサインを貰ったアルバムでもあります。是非一度聞いてみて下さい。

 というわけで、また需要のないお気に入り曲の記事でした。閲覧頂きありがとうございました。

 

【今日のなぞなぞ】

 試合前のサッカー選手と自動車工場の人が同じことをしていたよ。何をしていた?