北竜町農家のなんとなく

北海道北竜町の農家がほそぼそ考えたこと。

熊駆除のクレームに思う〜他人事の農村

【前回のなぞなぞ】

 

カラス、牛、羊が合体したら、ある鳥になるらしい。いったいどんな鳥になる?

 

答え:カモメ(カァー、モォー、メェー)

 

 

 前回、近所の熊について書きました。その後、また2頭の子熊がでてきており、実家のお向かいの家の150mくらいまで来ていました。軽トラには少しビビっていた様ですが、また遊び始めていました。母熊と思われる方は、特にまだ耳に入りません。ビクビクしながら仕事をしております。
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 全国的に熊の出没が問題になっている中、幾度となく話題になるのがこのニュースです。

秋田のクマ被害、駆除への“無責任”クレームに近隣住民が猛反論「子どもの命がかかっている」(ENCOUNT) - Yahoo!ニュース

 こういった話題が全国で大きく報じられると、私がいつも感じるのは「他人事だからな」という、憤りにも似た苛立ちです。これは私が以前、青年農業者会議で北海道の最優秀賞を頂いたアグリメッセージのテーマでもありました。

 ありきたりな言い方になりますが、都会に住んでいるとこの危機感は理解できないと思います。それでも、想像したり調べたりすることは出来るはずです。おそらく、記事にあるクレームをしてしまう人はその想像力や調査力が著しく欠けているか、原理的博愛主義者なのでしょう。

 「熊を山に逃がせ」というのは完全に前者の能力が欠けた意見ではないでしょうか。すこし調べるだけでも熊の行動範囲の広さはわかります。それ以上の距離に逃がすのは現実的でないし、簡単に帰ってくれば次は人命に関わることが容易に予想されます。侵入を防ぐのが一番ですが、電柵や有刺鉄線ごときで奴らは止まりません。鹿ですら全く防げていません。炸裂音も人の声も、慣れてしまえばより危険は増していきます。有用な知恵が生まれていないのが現状といって良さそうです。冗談抜きに次の瞬間死ぬかもしれない事態では、射殺という選択肢を抜きに対策を語ることは、少なくとも現状では難しいでしょう。

 「命は大切だ」というのは理解できます。それでも人間が愚かにも繰り広げる戦争とは、わけが違います。私達にも生活と営みがあり、熊が現れたからとすぐに去るわけにもいきません。哀れではありますが、自分たちの命には代えられないと考えるしかないと思っています。

 農村の暮らしは、メディアによる伝聞や体験などで少しずつ都会の方にも見聞きできるとは思います。ですが、こうしたリアリティはまだ希薄で、そういった方のクレームに繋がっているのではないかと想像します。どうか、他人事から一歩踏み込んで考えてほしいものです。

 もう少し言いたいことはありますが、このくらいにしておきます。閲覧頂きありがとうございました。

 

【今回のなぞなぞ】

 熊は熊でも、流れ作業に欠かせない熊ってなーんだ?